書評写真・安心してがんと闘うがんは治る病気。その後の人生のために、知らなきゃ損するがんの治療費の節約術

 

かつては不治の病と考えられていたがんですが、今は「克服できる病気」と感じる方が増えてきました。それに伴い浮上してきたのが「お金」の問題です。がんの治療費が高額になることは知られていますが、実際の問題はそこだけではないそうです。

本書は、がん専門病院の診療放射線技師で、ファイナンシャルプランナーでもある著者が実際に治療の現場でがん患者と向き合っているからこそわかる、お金の悩みや苦労に答えています。

なかでも、とくに重視しているのが、できるかぎり働き続ける環境を維持することだそうです。がんに罹患した時のリスクの一つに、「仕事」に関する変化があります。本書に掲載されているアンケートによると、罹患後、就労状況に変化があったという方が半分以上を占めています。

就職が容易にできる資格や技術を持っている人は除いて、多少の無理は承知でも離職しないことが肝心です

依願退職や解雇などにより、職を失ってしまった方も少なくありません。就労形態の変化に伴い、収入が減るケースが圧倒的に多く、さらにがんの治療費によって支出が増えるため、家計にとって大きな負担になるとのこと。そのためにも、高額療養費や傷病手当金などの制度が利用できる可能性があるため、著者はできるだけ離職を避けるべきだと言っています。

がんという病の他に、お金に関する悩みを抱えてしまうと、精神的な負担は増すばかりです。実際に、減る収入、増える負担を明確に数字で示されると「離職しないと迷惑をかける」と遠慮してばかりはいられません。シビアに冷静に現状を受け止め、がんと闘うために「最もよい方法」を判断することが必要だと痛感します。

また、医療従事者だからこそわかるセカンドオピニオンや治験、先進医療などのがん治療で気になるキーワードとお金の話や、生命保険の活用法、公的保障の使いこなし方など、多方面からがんとお金について考えることができます。

 がん治療の節約法など、医療費を抑えるという考え方はとても新鮮でした。がんが克服できる病気になった今、「がんと共に生きる」ために、より賢い患者になることが必要だと感じさせてくれる一冊です。(中山寒稀)

安心してがんと闘うために知っておきたいお金の実際』内田茂樹(著)/主婦の友インフォス情報社