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書評写真・あ、欲しいのつくり方マーケティングは面白い! 売り手も買い手も幸せになるための商品を開発する方法

 

そもそも、マーケティングってなんだろう? 読み始めた時、そんな基本的な部分に立ち戻って疑問を持った一冊でした。マーケティングと言えば、市場調査や広告などを思い浮かべますが、実はマーケティングにとって重要なのは、人間の心理そのものだということ。

架空のコンビニチェーン商品開発のマーケティング研修を通して、「売れる商品の秘密」を解説しています。中小企業診断士でマーケティング指導に定評がある著者が講師役を務めます。マーケティングの基礎から戦略策定にいたるまで盛りだくさんの内容になっていますが、専門知識がない私でも「なるほど」と納得することができました。

たとえば、著者が勧める「商品開発のABC」は次のようになっています。 

A……アナロジー 売れる背景や共通点を推測し、買いたくなるポイントを探し出すこと

B……ベネフィット 買いたい気持ちになるお客様起点のベネフィットを具体的にすること

C……カスタマー そのベネフィットは誰に最適かを決めて提供すること

このアナロジー(類推)、ベネフィット(利益)、カスタマー(顧客)の3つのプロセスを経ることで、「既存の人気商品がなぜお客様の気持ちを捉えたか、その要因を抑え」、「そのお客様の気持ちを満たす商品を開発し」、「それを必要とするお客様に届ける」という人気商品開発の基本を抑えることができるそうです。

また、マーケティングは人間の心理がベースになっているがゆえに、単純には答えが出ないとも言っています。商品開発する側が常識として「客が当然求めているであろう」選択肢の広さ、価格の安さ、手間いらず、完璧であることなどは、実は勘違いであることも多いのだそうです。

最近の人気商品に「ひと手間加えるレトルト食品」があります。温めるだけで食べられる完全なレトルト食品とは違い、あえて調理でひと手間をかける商品です。それにより「料理をした」「ただのレトルトよりも本格的な味だ」という満足感が得られることで、人気になりました。つまり、手間がいらないから必ずしも好まれるというものでもないのです。

著者のマーケティングに対する考え方は非常にシンプルで、まずは買い手の「欲しい!」という気持ちに答えること。それにより、買い手は欲しいものを手に入れ幸せになり、売り手は利益を得て幸せになる。「売り手も買い手も幸せになること」がマーケティングの基本なのだそうです。

データや調査に縛られた思い込みは、マーケティングにとって大敵。モノに向き合うのではなく、人に向き合うという考え方には共感を覚えました。(中山寒稀)

 『「あっ、欲しい!」のつくり方――1%に売れば99%儲かる

幸本陽平(著)/日本経済新聞出版社

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