どこへ向かう?日々、進歩する東京の不動産開発

書評写真・東京都市再生

東京オリンピックを控え、東京では渋谷ヒカリエ、東急プラザ銀座など、大規模な不動産開発が相次いでいます。そのたびにテレビや雑誌では特集が組まれ、華やかな話題として注目を集めています。しかし、著者曰く、大規模不動産開発は常に成功するとは限らないとのこと。

実際に海外では、大規模開発の結果、さまざまな状況を引き寄せています。

成功例として有名なのは、ニューヨークのチェルシーマーケットでしょう。100年以上前に作られたナビスコ工場は改修を経て、ショップやレストランが入る人気の観光地になりました。その影響は周辺にもおよび、遊休化した工場や倉庫などが改修されるきっかけとなり、さらに人、モノ、カネ、情報を引き付ける人気のスポットに変貌を遂げています。

一方で、資金不足による不動産開発の中断により、多くの負債を抱えてしまったという中国・天津市のような例もあります。

そこで、都市政策や不動産開発・投資に関する調査研究やコンサルティングを行っている著者が東京の不動産開発のあり方を提案しているのが本書です。

都市再生が始動した政治的背景から、国家戦略、実際に不動産開発によって作られた施設の利用主体である来街者、就業者、居住者に対するアンケートなど、多方面から東京の不動産開発について検証しています。

日本の不動産開発で重要視されるのは、多くの方が「行きたい」「利用したい」と思える施設であることなのだそうです。そのため、大規模な施設の開業前に行われるプレスリリースは、人気のテナントや話題のスポット、イベントの開催など、利用者を引き付ける魅力的な情報が満載になっています。さらにその施設だけではなく、利用する際の利便性、安全性、景観など、周りの環境も重要なポイントになるため、公的支援、また地域貢献なども含め、多くの課題を抱えています。

本書は都市計画や不動産の研究者、不動産開発や不動産投資に携わる実務者、国や自治体職員の方に向けた専門書ですが、とても整然と書かれており、初心者の私でも比較的、読みやすい構成になっています。                                                                               (中山寒稀)

東京・都市再生の真実――ガラパゴス化する不動産開発の最前線』

北崎朋希(著)/水曜社