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知ってると知らないでは大きな違い!発病から介護離職までのリアル

書評写真:脳卒中

“「今日は、何だか包丁がうまく使えないわ……」

とおかしなことを言うのでそばに行ってみると、確かに動きがぎこちないように感じられました。“

“これが後に、二人で何度も後悔することになった夜の出来事です。もしあのとき、脳梗塞に関する知識が少しでもあれば……、もしあれが、お酒を飲んでいない昼間の時間帯だったら……、もし、もしも、もしかして、すぐに救急車を呼んで病院に連れて行っていれば……今のように重い後遺症に苦しめられることはなかったのかもしれません。”

著者の最初にした後悔は奥様の「発病」でした。さらに発病の前に3回の前兆があり、それも見過ごしてしまっていたとのこと。

昨日まで、無関係だと思っていた介護生活。それがある日、突然訪れたら? 知識がないがゆえに様々な問題に直面し、持ち前の情報収集力で問題を乗り越えてきた著者が、負担をできるだけ減らし、ポジティブになれる介護生活90のポイントを紹介しています。

長期的な介護になると、最大の敵は「ストレス」ではないでしょうか。著者は体が不自由になっている奥様のことは十分に理解をしていましたし、腹を立てない努力をしてきたそうです。しかし、イライラしている時に、自分にとって簡単なことや同じことを繰り返し頼まれ、何度も怒鳴ってしまった経験があるとのこと。

しかし、介護する側も人間。腹が立つのは当たり前だと開き直ってしまうことも大切だと著者は言っています。そこで、アドバイスをしているのが、次の3つのポイントです。

“Point

64 介護を続けていれば、誰もが一度や二度はぶち切れる瞬間がある

65 腹が立つのは当たり前だと思えば、気分が落ち着き、自己嫌悪に陥ることも少ない

66 どんなに激怒しても、絶対に暴力だけは振るってはいけない“

本書では、リハビリテーション病院から装具、障害年金、在宅介護など、著者の失敗や経験から学び、突き詰めて考えた介護のハウツーが満載です。中でも特徴的なのが、「介護の負担を減らすため」の情報ばかりではなく、温泉旅行や新しいことへの挑戦など、楽しむ努力を惜しまないことではないでしょうか。

“Point

90 多くのものを失ったけれど、強固になった愛情と夫婦の絆が、この病気で手に入れた最大の財産である”

 

奥様が自分の足で歩き回れるようになった時、思い出の地ロングアイランドに行くことを、ご夫婦の目標としているそうです。失ったものの数を嘆くよりも、幸せになる努力をすることがはるかに合理的だと、考えさせられる一冊でした。(中山寒稀)

『身近な人が脳卒中で倒れた後の全生活術 ――誰も教えてくれなかった90のポイント――』

待島克史(著)/時事通信社

 

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